めぐみです。
久しぶりに仮想通貨について書きます。
今日取り上げるのは、スウェーデンの仮想通貨であるe-クローナ。
スウェーデンでは、国家をあげて仮想通貨e-クローナが開発されています。
スウェーデンは福祉や公助が非常に充実している国家です。
学費や医療費の無料化(一部)、奨学金の付与、住宅手当の付与、失業者対策なども充実しています。
女性の社会進出は当たり前ですし、朝早くから子供を保育園に預けることもできます。
日本でも今、福祉や保育の充実が政策課題となり、どんどん子どもを育てやすい社会となっていますが、スウェーデンのそれは日本の20年先を進んでいるとも言われています。
実は離婚してシングルマザーになったとき、生活していくために日本の福祉事情についてはたくさん調べました。
そして、日本が世界から見てもはるかに遅れていることを知りました。
その時に同時に知ったのがスウェーデンの福祉の充実と、行政の動きの速さ。
(本気でスウェーデンに移住したい、とまで考えました・・w)
それだけ最先端を進むスウェーデンですが、キャッシュレス化も非常に早く進みました。
しかし、全く問題が起こっていないわけではありません。
実は国家をあげて導入が進んでいる仮想通貨e-クローナも、このキャッシュレス化による問題を解消するために取り入れられたプロジェクトだったのです。
今回は、この世界の先を行くスウェーデンのキャッシュレス化や仮想通貨事情について解説します。
- スウェーデンの仮想通貨e-クローナはいつから使えるようになるのか?
- 仮想通貨e-クローナが生まれる背景になった、スウェーデンのキャッシュレス化の弊害とは?
- 日本のキャッシュレス化はどれくらい進んでいるのか?
以上について、具体的に学べるよう解説しています。
日本がこれから直面するであろうキャッシュレス化の弊害についても、これを読めば理解できるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。
もくじ
e-クローナはスウェーデンで国家開発されている仮想通貨
他国をリードする最先端国家スウェーデン
引用:https://unsplash.com/photos/FMtCI4zIVGk
スウェーデンといえば、行政福祉の充実や斬新なライフスタイルなど、時代の最先端を行くイメージがあります。
そんなスウェーデンですが、現在国家主導での仮想通貨e-クローナの開発がすすめられています。
国家主導で国で使える通貨として仮想通貨を開発している国は世界でも稀で、スウェーデンはやはり仮想通貨においても他の国を大きくリードする形を取っています。
e-クローナは2021年に実用化予定
このe-クローナは、2019年に運用テストを行う予定であるとされており、さらに2021年には実用化されるとして準備が進められています。
このままうまく導入が進めば、国家主導での仮想通貨導入は非常に画期的であり、スウェーデンを真似た国家による自国のための仮想通貨導入にさらに拍車がかかることが予想されます。
またそれにより、世界中にさらにキャッシュレス化が進むことになるでしょう。
e-クローナが生まれたのはスウェーデンの問題だらけのキャッシュレス化のため
このように順風満帆に見えるスウェーデンの通貨事情ですが、内情はそうとも言えないようです。
このe-クローナが開発されたのも、実はスウェーデンの問題だらけのキャッシュレス化が背景にあると言われています。
世界の先をゆくキャッシュレス化促進国家であるスウェーデンからは、日本も多くのことを学ぶ必要があります。
スウェーデンのキャッシュレス化は急速なスピードで浸透した
引用:https://unsplash.com/photos/lVFoIi3SJq8
スウェーデンのキャッシュレス化は、世界でも例を見ないほど急速に浸透しました。
2010年には40%であった現金での商取引は、2016年には15%にまで減少しました。
レストランにおいても、以前は「幾ら以上」という制限があったクレジットカードの利用は、現在では「現金お断り」という表示に変わるほど、ここ数年で大きく変化し国中で浸透しました。
バスや電車などの公共交通機関、さらには公衆トイレの利用料にいたるまで、現金が使えなくなってからしばらく経ちます。
また、個人間での現金のやりとりについては「スウィッシュ」という銀行が提携するアプリが広く利用されています。
これを使えば友人間での割り勘、相手先を検索しての支払い、お祝い金の受け渡しなど、細やかなお金の受け渡しにとても便利に活用することができます。
さらにうれしいのは、手数料が発生しないという点。
子どもへのお小遣いにスウィッシュを使う家庭もあるほどです。
このようなスウェーデンのキャッシュレス決済の浸透により、
国家の3人に2人が現金がなくても生活に困らない、とするアンケート結果まで出ています。
問題1・キャッシュレスインフラを利用しづらい人たちの不満
このように順調に思えるスウェーデンのキャッシュレス化ですが、こうしたインフラを利用しづらい人たちからの不満が多く寄せられているのも事実です。
例えば、高齢者や障害者、そして地方に住む人たち。スマホアプリやクレジットカードなどのキャッシュレスインフラを活用できない人たちは、生活する上で非常にデメリットを感じています。
スウェーデンのキャッシュレス化により、銀行は現金の取り扱いを徐々に縮小するようになりました。
それにより、こういった層の人たちが必要な支払いさえまともに行うことができなくなったと非常に不便に感じています。
こうした問題に対応するため、国家が現金支払いを代行するための民間機関を立ち上げるなど施策を講じていますが、このままキャッシュレス化がもっと進めば、そのための補助金も底をつくことになりますし、そもそもの根本的な解決には至りません。
また、スウェーデンの年金生活者の市民団体「PRO」も声をあげています。
PROはスウェーデンで最大級の市民団体ですが、キャッシュレス化を容認する一方で、現金の利用することが割高になるなどのデメリットを被る場合、その影響を一番に受けるのは高齢者や障害者、中小企業や地方住民であるとして、その問題点を指摘しています。
このことからPROは、銀行がもっと現金の取り扱いについて責任を持つべきであるという訴えを起こしており、この訴えに対して14万人の人たちが署名をしています。
問題2・キャッシュレス化により新しいコストが生じている
引用:https://unsplash.com/photos/3-Tc_5LROrM
キャッシュレス化により現金取引にかかる莫大なコストが削減できるのは事実です。
反面、キャッシュレス化したことにより、新たなコストが市民の負担になっているという事実もあります。
一つ目は、前述したような現金以外を使えない層の人たち。
銀行が現金を取り扱わなくなっていることから、生活するための基本的な支払いすらすることができず、現金取引を行うために別途手数料を支払わなければならないというケースが生まれています。
また、観光業にも影響があります。
特に外国人を相手に商売をするお店などの場合、国内では使用できない、もしくは手数料が高いクレジットカードの場合は、現金が取引できる唯一の方法になります。
しかし、銀行が現金を扱っていない、もしくは高い手数料がかかることから、自分たちで現金を保有し輸送しなければならなくなったというお店も少なくありません。
これにより非常に高いコストとリスクを背負わなければならなくなったというケースもあるのです。
そして、前項で解説した個人間のやり取りに活躍しているスウィッシュですが、個人間では利用料が無料である一方で、団体や企業でのやり取りには高い手数料が発生します。
スウェーデンでは「同好会」という文化が活発ですが、この同好会における金銭のやり取りについても高いコストがかかることになり、どういった方法を取るのが一番いいのか困惑の状況にあるとされています。
問題3・ネットワーク障害などの影響
引用:https://unsplash.com/photos/BW0vK-FA3eg
これだけキャッシュレス化が進み現金が使えないという状況に拍車がかかると、システムの脆弱性が致命的な問題にもなりかねません。
実際に、スウェーデンでは決済システムのネットワーク障害により、一時的に決済ができないという状況になることが起きています。
こういった場合に万が一の時の現金を持っていることは重要になります。
しかし、購入する側が現金を持っていても、現金で購入できるお店も非常に限られています。
キャッシュレス化が浸透していくことにはメリットも多いですが、致命的な問題が起こったときに現金という逃げ道がなくなっているのは非常にリスクが高いことでもあります。
日本のキャッシュレス化はどうなるか?
引用:https://www.pakutaso.com/201910002905-36.html
このように、スウェーデンではキャッシュレス化が急速に浸透した一方で、そのメリットを感じにくい人たちが大勢いるということが問題となっていることがわかりました。
そして、その問題を解消すべく、国家プロジェクトであるe-クローナの開発が進められています。
この舵取りや方針転換の速さも、スウェーデンならではという感じがします。
では、日本のキャッシュレス化は今後どうなっていくのでしょうか。
日本も、2019年10月の消費増税とともに、国がキャッシュレス決済の導入を全面的にバックアップしていることから今後広く浸透していくことと思われます。
日本のキャッシュレス化については、ぜひ以下の記事も参考にしてみてください。
キャッシュレス化が進まない日本|政府の本当の狙い・世界のキャッシュレス化事情も
しかし、日本ではカード決済端末の店舗への導入や年金や保険料支払いのカード決済利用などが推進されている政策が取られている一方で、e-クローナのような仮想通貨の国家主導での導入については議題にすらのぼってきません。
このようなことから、日本が仮想通貨をベースにしたキャッシュレス化を導入していく可能性はかなり低いと思われます。
しかし以下の記事でも書いたように、銀行が将来的に預金業務や為替業務などを取り扱わなくなることも考えられます。
銀行がなくなる?日本は現金主義からキャッシュレスへ・口座維持手数料導入も
現在のスウェーデンに起きている問題は、しばらく先の日本の未来とも置き換えて捉えることができるでしょう。
世界に学んで日本もよりスピード感を持ってキャッシュレス化に取り組んでいくときではないでしょうか。
まとめ・スウェーデンのキャッシュレス化を仮想通貨が救う?日本も続け!
さまざまな分野で最先端を行くスウェーデンのキャッシュレス事情や、国家プロジェクトである仮想通貨e-クローナについてご紹介しました。
簡単にポイントをまとめておきましょう。
- スウェーデンでは国家プロジェクトとして仮想通貨e-クローナの開発を進めている
- e-クローナが生まれた背景には、急速に浸透したキャッシュレス化の問題補完がある
- スウェーデンのキャッシュレス化では、ITインフラを使えない高齢者・障害者・地方にはデメリットばかり
- ネットワーク障害やキャッシュレス化による新たなコストの個人負担も問題に
- 日本のキャッシュレス化は始まったばかり、スウェーデンの問題を参考に導入を
仮想通貨が生み出されてまだ歴史は浅いですが、こんなに短い期間で、一つの国家の通貨と置き換わろうとしている側面もあります。
これだけの可能性を持つ仮想通貨からはますます目が離せませんし、日本でも多くのメリットを持つ仮想通貨がいち早く国家プロジェクトとして動き出すことを期待します。
世界中のキャッシュレス化や仮想通貨の動きを、これからも見守りしっかりと流れに乗っていきたいですね!