めぐみです。
ここ最近また、仮想通貨がメディアから注目されています。
2017年のピークを最後に、2019年前半まで低迷を続けていたビットコイン相場も、今年の夏前には一時高騰し注目を集めました。
仮想通貨については、以下の記事に詳しくまとめていますから、ぜひご一読ください。
今日は、そんな暗号資産・仮想通貨の一種であるステーブルコインについて解説していきたいと思います。
ステーブルコインと言えば、facebook社が開発を進めているリブラに規制がかかったことがニュースとなり、それで知ったという人も少なくないと思います。
実際に、ステーブルコインはどういう暗号資産なのか、この記事を読むことで理解を深めていただきたいと思います。
- ステーブルコインにはどのような特徴があるのか?
- ステーブルコインの種類は?
- ステーブルコインのメリットとデメリットは?
- 日本におけるステーブルコインの動きと政府の対応は?
将来的な実用を考えると、一番現実的なのがステーブルコインであると言われています。
私たちの生活に、間もなく身近なツールとしてステーブルコインが導入されてくることも考えられます。
そんなステーブルコインについてまとめています。ぜひご一読ください。
もくじ
ステーブルコインとは?特徴と従来の仮想通貨の問題点
ステーブルコインとはどのような通貨なのでしょうか。
ここでは、従来の仮想通貨の問題点と、それを払拭するステーブルコインの特性についてわかりやすく解説します。
仮想通貨はまだ技術的にも安定性の面でも問題点が多い
まずは、ビットコインなどのこれまでの仮想通貨の問題について。
ブロックチェーンという革新的な技術を裏付けに高く評価された仮想通貨ですが、まだまだ多くの問題があります。
その一つに、まだ技術的に成熟していないという点が挙げられます。
仮想通貨についてはその利便性や投機的な側面により多くのメリットを受けている人たちがいる一方で、多くの仮想通貨取引所で仮想通貨流出事件が起こりダメージを受けた人たちも大勢います。
ブロックチェーンは革新的な技術であり、改ざん不可能であるとされていますが、それをさらに上回るハッキングや改ざんが生まれてこないとも言えません。
さらに多くの仮想通貨流出事件の原因となっているセキュリティの問題についてもまだまだ開発すべき点が多くあり、成熟しきっているとも言えません。
そして、相場が安定していないというのが、仮想通貨の大きな問題点です。
実際に、買ったときの値段と売ったときの値段が大きく開いたことにより利益を得た人も大勢います。
しかし、仮想通貨ほどボラティリティ(変動性)が高い通貨は他になく、これだけ不安定だと日常的に利用する通貨としてはまだまだ用いることはできません。
今はまだ仮想通貨で日常的な買い物をしたり、仮想通貨を支払いに使ったりなどという機会は普及していません。
しかし、今後の仮想通貨市場の発展を考えていくと、このボラティリティの高さについては考えていかなければならないでしょう。
ステーブルコインは安定性の高い仮想通貨
ステーブルコインのステーブルは英語でstableと書き、安定していることを意味します。
その意味どおり、ステーブルコインは相場が安定している仮想通貨のことを指します。
仮想通貨については以前も書きましたが、相場が安定していないことが仮想通貨のデメリットでした。
そのことから、円やドルのような法定通貨のように一般的に使えるような通貨としては、まだまだかけ離れています。
しかし、ステーブルコインはある性質を持っていることから、その相場や価格が安定しやすいという特徴を持ちます。
それは、ステーブルコインの担保や裏付けとして、他のものが用意されているという性質です。
ステーブルコインにはその担保や裏付けとして、円やドルなどのような法定通貨や仮想通貨、また石油や金などの希少資源が用意されています。
これらの裏付けとなっている法定通貨や金などの、軸となる通貨などに連動させてその価値がある程度一定に保たれるような仕組みになっているのです。
そのため、軸となる通貨などの発行元である銀行などに通貨を預けてトークンが発行されるような仕組みが取られています。
このことから、一般的な仮想通貨に比べると相場が安定しています。
このように、ステーブルコインは法定通貨と仮想通貨の間に位置するようなイメージの通貨です。
技術的に仮想通貨よりも発展しているというわけではありませんが、ボラティリティが低いことは実用性が高いということでもあります。
多くの企業などが法定通貨の代替として使えるようなステーブルコインの開発に力を入れています。中には、国を挙げてステーブルコインの開発に取り組んでいるという国家もあります。
ステーブルコインの別名は「ペッグ通貨」
ちなみに、ステーブルコインは「ペッグ通貨」と呼ばれることがあります。
ペッグとは英語で、釘で固定することを意味します。
前項で解説した、ステーブルコインが法定通貨や金などに裏付けられていることが、それに釘で固定されていることをイメージさせることから、ペッグ通貨と呼ばれるようになりました。
ステーブルコインの種類
ステーブルコインは、法定通貨や希少資源が裏付けになっている通貨であること、そして仮想通貨よりも安定度の高い通貨であることが分かりました、
さらに、ステーブルコインにはいくつかの種類があります。
その裏付けの種類や有無によって、「法定通貨担保型」「仮想通貨担保型」「無担保型」の3種類に分けることができます。
ここではそのステーブルコインの種類について詳しく解説していきます。
法定通貨担保型のステーブルコイン
法定通貨担保型のステーブルコインは、文字通り、円やドルなどの法定通貨が基軸となっているステーブルコインのことです。
法定通貨は、その国の政府や中央銀行がその価値を保証しているお金のことで、同じく国や政府が発行量などを調整することでその価値が安定的に保たれています。
ちなみに、一万円札も五千円札も、「お金」という価値が与えられていなければ絵柄の入ったただの紙ですよね。
その紙がお金として価値を持っているのは、国や政府がその価値を保証しているからなのです。
法定通貨担保型のステーブルコインは、この法定通貨を基軸にして法定通貨の価値と連動しているため、仮想通貨に比べると格段にその価値は安定しています。
さらに、その基軸となる法定通貨といつでも交換することができるという利点もありますから、安心して利用することができます。
ちなみに、金や石油などの希少資源を基軸にしたステーブルコインも、この法定通貨担保型に該当します。
つまり、法定通貨を発行している国や政府、さらにはその為替相場が法定通貨担保型のステーブルコインには非常に重要となります。それはすなわち、その国家や中央銀行の信頼性が非常に重要になるということでもあります。
仮想通貨担保型のステーブルコイン
また、ステーブルコインには、仮想通貨担保型のものもあります。
これは、文字通り基軸となる通貨が仮想通貨になっています。
ボラティリティの高い仮想通貨が基軸となっているものは安定性があるのか、という疑問を持たれると思います。
その通り、仮想通貨担保型のステーブルコインは法定通貨担保型ほど安定性があるものではなく、その価値が必ずしも保証されているわけではありません。
仮想通貨担保型のステーブルコインは、仮想通貨の中でも流通量や取引量の多いイーサリアムなどが基軸として用いられています。
無担保型のステーブルコイン
ステーブルコインの中には、無担保型のものもあります。
無担保型のステーブルコインは、法定通貨のようにその価値を一定に保つために供給量が調整されることで安定が保たれる仕組みになっています。
無担保型は、一見すると一番安定性が低いように思われます。
しかし、第三者の影響を受けずに成り立つ仕組みである点などがこれまでの仮想通貨の形に最も近いと言われていて、今後一番普及するのではないかとされています。
ステーブルコインのメリット
ここからは、ステーブルコインが流通することのメリットについて解説していきます。
メリット1・相場が安定する
やはり、ステーブルコインの一番のメリットはこの点です。
ステーブルコインが法定通貨や希少資源に裏付けされていることで安定が保たれるというのは、従来の仮想通貨のボラティリティの高さを解消することになります。
相場の変動が抑えられているため、モノを購入したり、お金を双方で送りあったりすることもできるようになります。
さらには、ステーブルコインによる預金もできるようになるでしょう。
これによって、法定通貨を使うのと同じような感覚で日常的にステーブルコインを使える日がより現実的になります。
メリット2・自分の財産の逃げ道になる
ステーブルコインを使うことで、自分の財産を守ることができます。
日本のような国にいると法定通貨が価値を持たなくなるということは考えづらいですよね。
しかし、紛争の最中にある国や、ギリシャのように国家が財政破綻してしまうなど、世界中にはその国のお金が価値を持たなくなってしまうということも起こりうるのです。
そういう場合、一度法定通貨の価値が暴落してしまうと、その価値は下がり続けることになります。
自分の法定通貨での資産をステーブルコインにかえておくことによって、自分の資産に価値がなくなってしまうことを防ぐことができます。
これは、ビットコインなどの仮想通貨についても同じです。
仮想通貨は相場の動きが激しいですが、一度その価値が下がると激しい勢いで下がり続けるということも考えられます。
この場合においても、持っている仮想通貨の逃げ道としてステーブルコインに換金しておくことは一つの選択として考えることができます。
メリット3・国をまたいでも使いやすい
海外旅行をすると、その国のお金を使うことになります。
そのためには、自国のお金をその国のお金に換金する必要がありますね。
しかし、ステーブルコインを使うことができれば、都度換金したり、その国の相場に物の価値が左右されたりすることがなくなります。
その上、短時間で決済が可能ですし、手数料も安く済ませることができます。
ここまでは仮想通貨と同じですが、ステーブルコインの方が安定性があるため、価値が下がらないという点は同じくメリットになります。
ステーブルコインのデメリット
一方で、ステーブルコインにはデメリットもあります。
デメリット1・中央集権型であること
ステーブルコインは法定通貨などに基軸が置かれていますが、その運営を行うのは一つの組織です。
ビットコインのように中央管理者が存在せず、平等に監視されている体制でなければ、不正に発行量や価値がコントロールされる可能性がないとは言えません。
現状、ステーブルコインに関する統一された基準などはありません。
そういったルールがない中では、ステーブルコインに100%の信頼を置くというのは難しいでしょう。
デメリット2・担保や裏付けへの信頼性
ステーブルコインは、法定通貨や金・石油などが担保になって裏付けられています。
しかしユーザー側からは、本当にステーブルコインが法定通貨などによって相当量を裏付けられているのかどうか、確認しようがありません。
運営側が十分な担保を保有しない形で詐欺のように運用している可能性も全くないとは言えないのです。そういう意味で、本当にそのステーブルコインに信頼を置けるかどうか、という点においても100%とは言えません。
デメリット3・返還についての規制がない
ステーブルコインは、法定通貨などの避難先になるメリットがあることは先述しました。
しかし、ステーブルコイン自体がハッキングや盗難などの被害にあったり、ステーブルコインを運営する組織が倒産してしまう場合などは、法定通貨などの避難先になるメリットは機能しません。
それどころか、せっかく避難しても私財を失うことになってしまいます。
さらに、そのステーブルコインは法定通貨や金などに裏付けられていますが、それは安定性が保たれるという仕組みであるというだけです。
万が一のときに法定通貨や金で補償されるというものではありませんし、規制がなされているわけでもありません。
このように、盗難やハッキング、流出事件や倒産などの万が一が起こった場合は、他の法定通貨や仮想通貨と同じように私財を失うリスクがあるのです。
デメリット4・まだ世界的に普及していない
安定度が高く実用性があるステーブルコインですが、実際にはまだまだ世界でも使われていないのが現状です。
ステーブルコインが資産の避難先になるとは言え、それが世界的に普及して流通していなければ、結局はステーブルコインのまま持っているしかないということになります。
そしてステーブルコインが世界的に普及するには、各国で法律を整える必要があるためまだ時間がかかるでしょう。
しかし、徐々に広まっていき決済や送金でステーブルコインが使われるようになれば、日本の中でも普及してくるはずです。
デメリット5・マネーロンダリングに悪用される
ステーブルコインをはじめ、仮想通貨全般にも言えることですが、マネーロンダリングのプラットフォームとして使われる危険性があります。
マネーロンダリングは犯罪や不正などで手に入れたお金を、その出どころがわからなくなるようにする資金洗浄のことです。
まだステーブルコインは法整備が充実していないことから、犯罪や反社会勢力に悪用される危険性があります。
さらに、このような犯罪に悪用される場合には、ステーブルコインのメリットである手数料がかからない点やスピーディーに送金できる点もデメリットになってしまいます。
デメリット6・各国の金融政策への打撃
ステーブルコインは手数料が安く、送金スピードも早いため、現状の法定通貨に取って代わる通貨になる可能性が十分にあります。
しかしそうなると、各国の法定通貨によって動いている金融政策がステーブルコインに置き換わることによる影響や打撃はかなり大きいものになると予測されます。
日本におけるステーブルコインの動き
それでは、肝心の日本ではステーブルコインはどのように考えられているのでしょうか。
2018年金融庁の発表・ステーブルコインは仮想通貨とは認めない
日本では仮想通貨は資金決済法において一種の通貨として認められています。
こちらの記事でも詳しく解説しています。
しかし、2018年秋に金融庁は、ステーブルコインは仮想通貨とは定義しないと発表しました。
このときには具体的には明言されなかったものの、ステーブルコインがしっかりと世界的に定義されてルール化されなければ日本において認められることはないでしょう。
2019年G20・リブラなどのステーブルコインは認めない
引用:https://libra.org/ja-JP/
また、2019年秋には日本にてG20が開催されました。
このとき、facebook社が開発しているステーブルコインのリブラについて、大きく議論がなされました。
この会議ののち、日本銀行の黒田総裁はステーブルコインについて記者会見で以下のように述べています。
ステーブルコインは、新興国、途上国に限らず、一般的に金融政策や金融システムの安定にも影響を及ぼす可能性があり、更に、競争政策上の問題も引き起こし得るものです。
引用:http://www.boj.or.jp/announcements/press/kaiken_2019/kk191021a.pdf
このように、ステーブルコインについてはまだ各国でも法整備がなされていないことを理由に、事実上リブラの発行については認められないという結論が出されました。
しかし、こういったステーブルコインや仮想通貨などは、世の中の利便性を追求していく上で今後無視できないツールになっていくと思われます。
その都度、日本政府がどのような見解を示していくのか、また世界の動きに日本がどう歩調を合わせていくのか、動向に注目していく必要があります。
GMO Jananese YEN
引用:https://www.gmo.jp/
また、日本のGMOインターネット株式会社は、独自ステーブルコインで円ペッグ通貨である「GMO Jananese YEN」を、2019年度中の発行を目指して開発を進めると2018年に発表しています。
GMOは、仮想通貨関連事業を2017年から積極的に進めており、同年5月には仮想通貨交換事業、同年12月には仮想通貨におけるマイニング事業に着手しています。
そして2019年度中を目標にして進められている独自ステーブルコインの開発が完了すれば、仮想通貨関連事業の3つの軸と言える「交換」「マイニング」「決済」の全てにおいて参入を果たすことができます。
このGMO Japanese YENが開発され発行されると、日本でのステーブルコインの牽引的な役割を果たすと考えられますし、日本にステーブルコインが導入され将来的に決済において活用されるためには重要な位置付けとなるでしょう。
しかし、担保となる日本円を預け入れる銀行があるのかどうか、開発に伴う準備金などが用意できるのか、それらが進んだとしても金融庁や関係機関がリブラ規制に積極的である中でどう交渉を進めるのかなど、まだまだ発行に向けての壁は高そうです。
まもなく2019年度も終盤を迎えますが今後GMO Japanese YENの開発がどのように進むのか期待されます。
竹田恒泰氏がxcoin(エクスコイン)の発行を発表
引用:https://xcoin.co.jp/
そしてつい先日(2019年12月)、作家の竹田恒泰氏が代表を務める「エクスコイン」と外貨両替所の「エクスチェンジャーズ」は、暗号資産としてxcoin(エクスコイン)を発行すると発表しました。
専用のアプリを使って決済や送金などに利用できるようになります。
さらにエクスコインは円やドル、ユーロなどと1対1で交換されて、エクスコインと引き換えに得るこれらの法定通貨は、全てエクスコインの裏付け資産として保有されることになると発表されています。
エクスコインについてはまだ詳しいことはわかっていませんが、代表の竹田氏は日本で発行されるステーブルコインを使うことと、諸外国で発行されるステーブルコインを使うことには大きな違いがあるとして、日本でのエクスコインの利用を呼びかけました。
今後エクスコインの動きにも注目していきたいと思います。
まとめ・ステーブルコインの今後に注目
ステーブルコインの特徴や種類、メリットやデメリット、そして日本でのステーブルコインの動向について解説しました。
簡単にポイントをまとめておきます。
- ステーブルコインは法定通貨や金、石油などを裏付け資産にすることによって安定性を得る仮想通貨の一種
- ステーブルコインには、法定通貨担保型・仮想通貨担保型・無担保型がある
- ステーブルコインは送金や決済の他に、資産の避難先にもなるし、国をまたいでも使いやすい
- ステーブルコインは、 裏付けへの信頼性、マネロンへの悪用、法整備が追いついていない点などがデメリットに
- 日本ではステーブルコインは現在の金融政策へ打撃があるとして認めない方針
- しかし、GMOやエクスコインなどは独自のステーブルコインを開発している
このように、ステーブルコインはまだ実用化に向けては、技術的にも各国の法整備上でも整っているとは言い難い状況です。
しかし、ステーブルコインの代表とも言えるテザーはすでにビットコインに次ぐ取引量にまで成長していますし、世界一の仮想通貨取引所と言われるバイナンスもステーブルコイン発行の計画を発表しています。さらに、2018年以降次々と新たなステーブルコインが各国で発行されています。
こういった世界の動きに伴って、日本も方針転換せざるを得ないタイミングがやってくると思われます。
ステーブルコインについては、仮想通貨と同様に今後もその動向に注目していきたいと思います。