めぐみです。
仮想通貨について調べていると、「トークン」という言葉をよく目にするようになります。しかしこのトークンについて、いまいち理解を深められていないという人も多いのではないでしょうか。
実はトークンという言葉は、その意味が使われる状況や使い手によってそれぞれに解釈されることがあるため、非常に理解が難しいのです。
本記事では、このトークンについて具体的にわかりやすく解説します。具体的には以下のポイントについて理解できる内容になっています。
- トークンとは一体何のこと?
- 仮想通貨の世界で言うトークンと、その絶妙な種類分け
- トークンが作られた目的やその役割は?
- トークンを購入し保有するメリットとデメリット
仮想通貨はよく分からない、騙されそう、というような誤った認識を持っている人もいますが、今後仮想通貨はますます市場を広げ、私たちの生活に浸透していくツールになると考えられています。
仮想通貨についてはこちらの記事でも詳しく解説していますから、ぜひご一読ください!
仮想通貨について分からないという人も、なんとなく理解しているがさらに理解を深めたいという人も、ぜひ参考にしていただけたらと思います。
もくじ
トークンってなに?
トークンとはそもそもどんなモノなのでしょうか。実はトークンという言葉は、かなり広い定義で、さまざまな分野で使われている言葉です。
そもそも、トークンは英語で「token」と表記し、直訳では「しるし」「証拠」「記念品」「象徴」「引換券」のような意味で用いられます。
例えば、カジノではチップがトークンに当たります。賭けるお金と引き換えに使うものという意味です。
ギフトカードや商品券のように、お金の代わりに商品を買うことができるものもトークンと呼ばれています。
また、サイトで買い物をしたときに付与される、Amazonポイントや楽天ポイントのようなポイントもトークンに当たります。
この他には、お店に行って押してもらうスタンプカード。溜まっていくと商品や割引券などと換えられることからトークンということになります。
つまり、トークンは何かの価値の代わりになるもの全般を示していると言えます。
これとは別に、銀行や郵便貯金などの金融機関から提供されるセキュリティデバイスをトークンと呼ぶこともあります。インターネットバンキングを利用する際に使う、本人認証強化のため入力する数字を生成するためのツールです。このツールの名称がトークンであることから、トークンと聞くとこのイメージを持つという人も多いでしょう。
仮想通貨の世界で言う「トークン」
トークンは広い定義がなされ、さまざまな分野で使われている言葉ですが、仮想通貨の世界でもトークンという言葉が使われています。
トークンとは仮想通貨のこと
結論から言いますが、仮想通貨の世界でトークンとは「仮想通貨」のことです。
???
となった方も多いのではないでしょうか。
とても分かりづらいのですが、実はトークンは仮想通貨と同じ意味で使われることもある言葉なのです。
しかし厳密に言うと違いがあります。トークンとは、すでに存在しているブロックチェーンの一部を借りて新たに生み出される仮想通貨のことを示す言葉です。
ビットコインやライトコインのような仮想通貨は、オリジナルのブロックチェーンを保有していますが、このようなオリジナルのブロックチェーンの一部を借りて作られているのがトークンです。
しかしトークンという言葉の使い手によって、オリジナルのブロックチェーンの仮想通貨も「トークン」とされることもありますし、そうではないこともあります。
トークンは簡単に生み出せる
「オリジナルのブロックチェーンを借りて作る」のように聞くと、とても大々的で難しそうなイメージがありますが、実はトークンは簡単に生み出すことができます。
すでにあるプラットフォームやアプリなどで手続きをすることができ、手数料をビットコインなどで支払えば簡単に作ることができるのです。
自分の名前を付けるなどして、自分だけの独自トークンが作れるのはなんだか少しワクワクしますね。
トークンの種類と特徴を解説
トークンとはいわゆる仮想通貨のことであり、その中でも特に既存のブロックチェーンを借りて生み出されるものが一般的にトークンとして解釈されているということがわかりました。ここで、このトークンの種類や特徴についてさらに詳しく解説します。
前項で示した、ビットコインなどのようにオリジナルのブロックチェーンを保有しているトークンがカレンシータイプと呼ばれるものです。
そして、そのオリジナルブロックチェーンを借りて生み出されたものがアセットタイプと呼ばれるもので、こちらが一般的にトークンと呼ばれているものです。
簡単に図にまとめておきます。
カレンシータイプ | アセットタイプ | |
管理者 | いない(全員で管理・監視) | 中央管理者がいる |
発行上限 | 決められている | 中央管理者が決める |
発行 | マイニング | 管理者が発行する |
ブロックチェーン | オリジナル | オリジナルを借りる |
トークンの種類①カレンシータイプ
これはいわゆるビットコインやライトコインなどのオリジナルのブロックチェーンを保有する仮想通貨のことです。こういった仮想通貨も、一部ではトークンと呼ばれることもあるため、あえてトークンの一種類としてここで解説しておきます。
カレンシータイプのトークンは、その通貨自体が決済や送金の機能を持つ通貨として流通することを目的に作られたものです。
カレンシータイプは非中央集権型といって、管理する人が存在せず、通貨を保有する人たち全員で管理し監視し合うという形が取られています。発行上限もあらかじめプログラムによって決められており、新たなコインを採掘するマイニング作業によって配布されるという形が取られています。
このビットコインやライトコインなどのオリジナルのブロックチェーンを保有する仮想通貨については、次の記事でも詳しく解説していますから、ぜひ合わせて参考にしてみてください。
トークンの種類②アセットタイプ
アセットタイプのトークンはカレンシータイプとは異なり、管理する人や組織が存在します。発行枚数やそのコントロールなどもその管理側が行うことができます。
そのためアセットタイプのトークンは、仮想通貨という側面よりも株式のような要素が強いです。株式は企業が発行するもので、それを株主が買うことにより資金を調達します。そして株主は自分が持っている株式を状況やタイミングに応じて売買取引することにより、利益を得るものとして活用します。
この仕組みを仮想通貨の世界でも応用させるために、アセットタイプのトークンが生まれました。
トークンが作られた目的や役割は?
一般的にトークンと呼ばれているアセットタイプのトークンは、何を目的として生み出され、どういう役割で利用されているのでしょうか。ここでよく耳にするICOという言葉が出てきます。
トークンは資金調達のために生まれた
トークンは、個人や組織が資金調達を行うために生み出されました。前項でも少し触れましたが、アセットタイプのトークンは株式と似ている特性を持っています。株式による資金調達の応用として考えられたのがトークンによる資金調達です。このトークンを使って資金調達を行うことをICOと呼びます。
ある程度成長した企業がIPOを行って株式を発行し資金を調達する場合と異なり、これからプロジェクトを発足する企業でも、まだ何の知名度もない個人であってもICOを行って資金調達をしようとすることは可能です。(お金が集まるかどうかは別です)
そのため非常にハードルが低く、2017年と2018年をピークにICOはその市場を広げ、多額の資金を調達できた個人や組織も多くありました。
ICOについては、次の記事で詳しく解説していますから、ぜひ合わせて読んでみてください。
トークンは仮想通貨取引所の基軸通貨としても使われる
トークンは仮想通貨取引所内において取引の基軸となる通貨としても用いられます。基軸通貨を使うことで、その取引所を利用するときの手数料が安くなったり、そのほかにもお得に利用できるようになるというメリットもあります。
いくら手数料が現金よりも安い仮想通貨だからと言って、取引量や取引回数が増えればそれだけ大きな金額になっていきますから、この点もトークンの重要な役割です。
トークンを購入するメリット
トークンを実際に購入したら、どのようなメリットを受けることができるのでしょうか。
メリット①トークンの事前購入で利益を得られる可能性がある
前項で、トークンが作られる目的に個人や企業の資金調達があると解説しました。この企業や個人が行う資金調達のことをICOと呼びます。ICOはプレセールなどとも呼ばれ、ICOに参加する人は事前に情報を入手して先行的に低い価格でトークンを購入することができます。
その後、ICOを実施した個人や企業の目的であるプロジェクトが成功し、世間からの認知度が上がりそのサービスや商品が広く活用されるようになると、当然ながらそのトークンの価値が上がることになります。先行投資時には低い価格で購入されたトークンですが、その価格も上昇することになります。そしてICOに参加した人は、購入時と売却時の差から、大きな利益を得ることができるというのがその仕組みです。
メリット②トークンの購入に手数料がかからない
ICOを実施し資金調達をする個人や企業と、ICOに参加しトークンを購入する人は、直接的にやりとりをすることになります。ICO実施側が設置したサイトを通してトークンが購入できるようになっているのです。
そのため、仲介する組織が存在しません。つまり、別途手数料を支払うということがありません。
これが株式による資金調達との違いです。株式の取引をする場合には、証券会社などを挟むことになるため、仲介手数料を支払う必要が出てくるのです。この点も、ICOに参加してトークンを購入するメリットと言えます。
トークンを購入するデメリット
反対に、トークンを購入することにデメリットも存在します。
デメリット①保有するトークンの価値が下がることもある
ICOに参加し利益をあげる目的でトークンを購入することは、いわゆる投資です。つまり、その価値が上がることばかりではなく、下がる可能性も十分にあります。
実際、ICOを実施した企業や個人が当初目的としていたプロジェクトを頓挫させてしまったり失敗してしまった場合には、トークンを購入した人たちがどんどんトークンを手放すためその価値が下がっていき、最終的には保有しているトークンが無価値になることもあり得ます。
さらに、保有しているトークンが売買取引できるようになるためには、そのトークンが仮想通貨取引所にて上場を果たす必要があります。この上場もハードルが高いことにより、頓挫するケースも多くあります。
デメリット②ICO自体が詐欺であることも
ICO自体が詐欺案件であるというリスクもあります。2017年、2018年頃にその市場が広がったICOですが、その約8割が詐欺だったとも言われています。
詐欺案件に騙されないようにするためには、ICOを実施する企業や個人が出すプロジェクトの詳細が書かれている資料(ホワイトペーパー)をしっかり読み込むことが必要ですし、そのプロジェクト自体が本当に実現可能なのかどうかを見極めることも必要です。
ICOによって多くの利益を得られたいわゆる億り人と言われる人たちも実際にいる一方で、詐欺案件に騙されて私財を失った人たちもいます。十分な注意が必要です。
デメリット③今後の法改正の影響を受ける可能性も
ICOはまだ十分な法整備が整えられていません。日本でも、金融庁によるICOへの注意喚起がなされています。
ICOの仕組みによっては、資金決済法や金融商品取引法等の規制対象となります
ICO(Initial Coin Offering)について~利用者及び事業者に対する注意喚起〜29.10.27 金融庁
「ICOの仕組みによっては」という点が細かく明示されているわけではありませんが、内容によっては金融庁の指摘を受ける可能性が大いにあるということです。金融庁によって規制されてしまうと、ICO自体が中止せざるを得ない状況となり、保有しているトークンも当然ながら補償されません。
また、ICOは日本国内のみならずグローバルに参加できるものです。つまり、その国の法整備によっても大いに影響を受けるのがICOです。ICOに参加しトークンを保有する場合には、その国のルールについても十分知識や理解を深めておく必要があります。
まとめ・トークンについてよく知り節度ある保有を
仮想通貨について勉強すると出てくる「トークン」について、そもそもの意味や仮想通貨との違い、利用目的などについて詳しく解説しました。簡単にポイントをまとめておきます。
- トークンとはある価値の代わりとなり利用できるものの総称
- オリジナルブロックチェーンを保有する仮想通貨=カレンシータイプ=これもトークンと呼ばれることがある
- オリジナルブロックチェーンを借りて新たに生み出される仮想通貨=トークン=アセットタイプ
- トークンは「ICOによる資金調達」、「仮想通貨取引所で使う基軸通貨」の目的で作られた
- トークンの購入には手数料がかからない上に、トークンを保有すると価値が上がったときに売れば大儲けできるが、価値が下がれば損失が生まれる
- トークンを発行するICO自体が詐欺であったり、今後の法改正で保有するトークンが無価値になる可能性も
仮想通貨の世界で言うトークンは、新たな資金調達の方法として編み出されたICOの取引ツールとして発行されています。メリットもある一方で、デメリットの大きさも考慮すると、節度ある購入としっかりとした下調べが欠かせないことがわかりました。
ICOについては次の記事でも具体的に解説していますから、ぜひ参考にしてみてくださいね。