ビットコインを支える技術として注目されるようになったブロックチェーン。
一定期間の取引データをいくつか集めてブロックが作られ、それがチェーンのようにつなげられているようなイメージです。
まさに、参加者全員で見張り、参加者全員で管理し合う台帳です。
このブロックチェーン技術は、改ざんが不可能であると言われています。
そのため、ビットコインだけではなく、さまざまな金融取引や契約に応用できるとされており、すでに多くの分野で応用も始まっています。
このブロックチェーンには、大きく分けて3つの型があります。
それぞれに使われる目的が異なり、メリットやデメリットも異なります。
本記事では以下の内容について具体的に知ることができます。
・ブロックチェーンの3つの型とそのメリデメとは?
・中間のコンソーシアム型に将来性がないと言われているのはなぜか?
ブロックチェーンの革新的な技術について、さらに理解が深められるような内容になっていますから、ぜひご一読ください。
もくじ
ブロックチェーンには3つの種類がある
ブロックチェーンの型の種類は、以下のような図で表現されるように種類分けされます。
パブリック型ブロックチェーンと、パーミッション型ブロックチェーンの違いは、参加者が限定されているかどうかという点です。
パーミッション型ブロックチェーンは、取引確認やブロック生成を行う参加者が限定されているタイプのブロックチェーンです。
金融機関など、プライベートな組織の中でのシステム運用などに用いられることが多いです。
パーミッション型は、さらにプライベート型とコンソーシアム型とに分類されます。
そして、パブリック型ブロックチェーンは、もっとも一般的な型のブロックチェーンです。
参加者が限定されておらず、誰でも参加できるようになっています。
ビットコインやイーサリアムなど、「非中央集権型」と言われる、参加者が全員で管理するタイプのブロックチェーンはこれに該当します。
そして、それぞれのブロックチェーンについて、参加者や管理者の有無、承認の仕組みについては以下の表がわかりやすく、富士通のHPより引用させていただきました。
引用:https://www.fujitsu.com/jp/innovation/blockchain/about/
パブリックブロックチェーン
パブリックブロックチェーンは、前述したように参加者全員で管理する非中央集権型のブロックチェーンです。
ビットコインやイーサリアムなどは、このパブリックブロックチェーンが使われて運用されています。
パブリックブロックチェーンのメリット
引用:https://unsplash.com/photos/JNxTZzpHmsI
パブリックブロックチェーンは、参加者全員で管理する=管理者が不在であることから、公平性の高い取引を行える点がメリットです。
また、分散してそれぞれが管理し監視しあえる仕組みであることから、不正を行うことが非常に難しいと言われています。
パブリックブロックチェーンのデメリット
引用:https://unsplash.com/photos/JrjhtBJ-pGU
パブリックブロックチェーンのデメリットは、管理者が不在であることにより取引承認が遅れることがあるという点でしょう。
例えばビットコインの例で言うと、取引の承認はマイナーという参加者が行っています。
マイナーが承認作業を行うのは承認作業により新規発行されるビットコインが目的であって、承認義務があるわけではありません。
そのため、その取引承認により受け取れる報酬が見合わないと判断される場合には、いつまでもその取引が承認されないということが発生することになります。
また、パブリックブロックチェーンは管理者が不在であることから、仕様などに関わるような大きな変更点がアップデートされづらいということもデメリットとして挙げられます。
プライベートブロックチェーン
パーミッション型ブロックチェーンのうちの一つが、プライベート型ブロックチェーンです。
コンソーシアム型ブロックチェーンとの違いは、管理者が単体か複数であるかの違いで、プライベート型ブロックチェーンは管理者が単体のタイプです。
そのため、企業などの組織内における情報システムとしての運用に取り入れられる場合がほとんどです。
プライベートブロックチェーンのメリット
引用:https://unsplash.com/photos/mf-o1E7omzk
プライベート型ブロックチェーンのメリットは、とにかく承認スピードが早いということです。
プライベート型のブロックチェーンは、中央管理者によって指定された信頼性の高い参加者だけが取引の検証を行うことができます。そのため、承認スピードも早くなります。
また、パブリック型ブロックチェーンのように、承認作業にインセンティブが発生しません。
プライベート型は、そもそも信頼関係のある一定のグループの中で使われることが前提になっているため、承認作業に報酬を払う必要がありません。
そして、プライベート型ブロックチェーンの管理者は、その仕様変更などを柔軟に行うことができます。
ブロックチェーンを活用したプロジェクトを推進する場合なども仕様変更は随時起こり得ますが、その場合もプライベート型のブロックチェーンであれば柔軟に対応することが可能です。
最後に、プライベート型ブロックチェーンでは、中央管理者が情報公開をコントロールできるため、プライバシーがしっかり守られます。
例えば企業などがプライベート型のブロックチェーンを用いたプロジェクトを公開する場合なども、顧客情報の流出を防ぐことができるためこの点は大きなメリットと言えます。
プライベートブロックチェーンのデメリット
引用:https://unsplash.com/photos/bj8U389A9N8
プライベート型ブロックチェーンにも、いくつかのデメリットがあります。
まずは、中央管理者による不正が起こり得るという点です。プライベート型ブロックチェーンは良くも悪くも中央集権型であるため、その中央管理者が全ての裁量を握っているということになります。
また、その中央管理者は取引する二者間の間の仲介者の立場でもあります。そのため、中央管理者が機能しなくなることによって、このブロックチェーンは全く機能しなくなるということです。
これは、ブロックチェーンを活用しない従来の取引で生じていたようなカウンターパーティリスクと同じと言えます。
最後に、プライベート型ブロックチェーンのメリットである仕様変更が容易であるという点は、永続的にデータを保存していくという点においてはデメリットになります。
コンソーシアムブロックチェーン
最後に、コンソーシアム型ブロックチェーンについてです。
パーミッション型のもう一つのタイプが、コンソーシアム型ブロックチェーンです。
プライベート型ブロックチェーンは管理者が単体であるのに対し、コンソーシアム型は管理者が複数存在します。
ちょうど、パブリック型ブロックチェーンとプライベート型ブロックチェーンの中間と言える特徴があります。
コンソーシアムブロックチェーンのメリット
引用:https://unsplash.com/photos/Q1p7bh3SHj8
コンソーシアム型ブロックチェーンは、複数の管理者により管理されるため、プライベート型ブロックチェーンのように中央管理者に裁量が集中せず、それによる不正リスクが低いというメリットがあります。
さらに、パブリック型ブロックチェーンのようにインセンティブにより承認作業が行われているわけではないため、承認作業が早いこともメリットです。
さらに、仕様変更に関する合意についても、パブリック型ブロックチェーンよりは参加者が少ないことからスピードを担保できますし、さらに複数管理者の合意がいることからプライベート型ブロックチェーンに比較すると透明性も担保されます。
コンソーシアム型ブロックチェーンの仕組みを取り入れていることで有名なのが、仮想通貨リップルです。
リップルの最も優れている点はその送金スピードです。約4秒で送金完了し、その取引量に至っては毎秒1000件と圧倒的な送金技術を持っています。
それに対し、ビットコインは1時間以上かかる場合がありますし、イーサリアムも約2分かかります。
また、ビットコインの平均取引コストが0.48ドル(50円ほど)なのに対し、リップルは0.0003ドル(0.03円ほど)と圧倒的に安いのも特徴です。
その技術の高さから、世界中の銀行がリップルとの提携を進めており、2018年2月にはサウジアラビアの中央銀行がリップルとの提携を発表したことは大きな注目を集めました。
コンソーシアムチェーンに苦言も
引用:https://unsplash.com/photos/vfuTnGb6-e8
一方で、コンソーシアム型ブロックチェーンには苦しい見方もあります。
2019年10月30日に開かれた、韓国サムスン社の開発者会議に、イーサリアム共同創設者のヴィタリック・ブリテン氏が登壇しました。
そこでブリテン氏は、コンソーシアム型ブロックチェーンでは十分に分散化させて人々からの信頼を集めることが非常に困難であるとコメントしました。
このことから、ブリテン氏がコンソーシアム型ブロックチェーンの将来性を否定している立場であることがわかります。
発行に規制がかかるリブラも、初めはコンソーシアム型のブロックチェーンを採用する予定であり、リブラ協会に加盟する100社が複数管理者となって取引承認を行う予定であることが発表されていました。
このように世界の大企業が仮想通貨業界へ参入する動きが見られます。
ブテリン氏は、このようにコンソーシアム型のブロックチェーンにばかり企業が着目することを指摘し、通貨の信頼性よりも多くの複数管理者が置かれることばかりが重視されていると冷ややかな姿勢です。
ブテリン氏に共通する見方を持っている業界関係者は少なくないと言われています。
今後の仮想通貨の浸透については、まだまだ大きな動きがありそうです。
まとめ・ブロックチェーンの型にはそれぞれ特徴が・今後の動きにも注目
革新的な技術であるブロックチェーンの3つの型について解説しました。
この3つの型については、それぞれに特長があり、メリットもデメリットもあります。
どれが優れているというわけでも劣っているというわけでもありません。
問題になるのは、それぞれの特長に応じて、適切なシーンでそのブロックチェーンが使われているかどうかという点にあります。
これから、仮想通貨が新しくリリースされたり、既存の仮想通貨に問題が起こるなど、仮想通貨のさまざまな局面において、これらのブロックチェーンの型についてこれからも取り上げられていくことになるでしょう。
今後の社会に、間違いなく仮想通貨は必要不可欠な概念であり技術です。
その価値や信憑性についての情報を正確にキャッチし、自身で吟味できるようになることがこれからますます求められるようになるでしょう。